アメリカ映画だから、と決めつけはしないものの、東京裁判全肯定・マッカーサー礼賛だろうと思って観たが予想に違わず。自身に与えられた役割、というか「身分」をそもそも顧みない尊大すぎるマッカーサーを演じたトミー・リー・ジョーンズはある意味確信的なハマり役だが、内容的には恰も自身の(ほぼ)一存で昭和天皇の「戦争責任」を云々出来る(出来た)ような設定が史実に反しすぎていて違和感多大。昭和天皇が「自らが全ての責任を負う」とご発言されるシーンもマッカーサーは着席したまま、昭和天皇が赦しを請うように立たれているが、ご発言は事実としても極めて不敬・不愉快な演出で制作サイドの日本社会・日本人への無理解が顕現。マッカーサー本人が後に認める東京裁判の在り様そのものの誤りには全く言及せず、昭和天皇を「戦犯」から免責してあげたとでも言いたげな(と言うかほぼ言ってるが)つくりは映画ゆえの脚色というより「マッカーサー英雄譚」のフィクションレベル。日本でよく公開できたもの、と思うが、日本人原作で日本人が撮った「少年H」もあの有様であるのを考えるとこの映画がそこそこ支持されるのもわかる気はする。