主役は文句無く海賊=ソマリア人。トム・ハンクスは良いが、正直「リアルに普通なおじさん」であった。緊張感を極限まで高めているのは海賊のほう。あの顔・体・眼・喋り方。どう見ても「本物」。画面からほとばしる富める者・国への怒り、貧困への怒り。盗むのが当然、という傲然。彼らの蛮行は眼に余る酷さだが理不尽の一言で片付けられぬ貧しき者のリアリティが胸に迫る。強富国アメリカの象徴の如きトム・ハンクスが終盤は彼らの引き立て役に見えて来る。ダレるところ一切無し。極限ヒーローものと思って観に行き良い意味で裏切られた。