(2回目鑑賞)シネマ歌舞伎 籠釣瓶花街酔醒(かごつるべさとのえいざめ)

今期オーラスのシネマ歌舞伎は先週に続きの『かごつるべ』。坂東三津五郎評して「肉体の芸術」=勘三郎・至高の芸が2回目鑑賞でより深く染み入る。妖剣=籠釣瓶を手にした人物は一度抜くと血を見ずにはいられないと言う因縁の刀がもたらす狂気がベースの世話狂言なのだが上演される部分(=本作品)は吉原花魁八つ橋=坂東玉三郎に一目惚れ、廓に通い詰めた挙句身請けの約も取り付けた田舎豪商(だが醜男)・次郎左衛門=勘三郎が結句花魁に衆人環視の下見事に振られ、腹いせに仲直りするふりをして籠釣瓶で花魁を斬殺、と言うただそれだけの話なのだが、2時間の上演時間には歌舞伎の魅力・魔力がぎっちり詰まっている。序幕・花魁一目惚れの場で魅せる八つ橋の艶やかさと勘三郎丈のド惚けぶり。粋なようで田舎者の域を出ずの曲輪遊びに興ずる次郎左衛門とは対照的な仁左衛門丈は花魁の恋人でこちらは真の粋、鮮やかなコントラスト。間で揺れる花魁の女心。そして縁切りの場、どん底に落ちた勘三郎丈、観ている方が息苦しくなる内にあっという間に大詰、大怒声で度肝を抜かれた直後籠釣瓶一閃、定式幕が引かれるまで観客は茫然自失。河竹黙阿弥の門人、河竹新七の作で初演は1888年なのでまだ130年「しか」経っておらず「新作」歌舞伎とも言える作品だが確実に言えるのは今日観たそのままの形で100年後もまたどこかで(勿論歌舞伎座でも)上演されていると言うことだ。肉体の芸術は跡形も無く消えてしまうが、今度は「違う肉体」によって、演じられ歌舞伎は続いていく。何もかもがあっという間に変わり、モデルチェンジされていく中で変わらないこと、これは本当にすごいことだとつくづく思う。建て直されて新会場する御園座の柿葺落四月大歌舞伎でもこの『籠釣瓶』が上演される。「違う肉体」は今度は次郎左衛門を新幸四郎、花魁八つ橋を雀右衛門。どんな「狂気」を幸四郎丈が演じるのか。名古屋には行かないが僕もいつか歌舞伎座で籠釣瓶を見物したいもの。
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スカパー!

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by hatcho_bori | 2018-02-14 22:16 | 歌舞伎 | Comments(0)
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