九月大歌舞伎なんだけど今週色々多忙で記事まとめるのが遅延。
2017年8月から始まった私の歌舞伎座通い、一ヶ月以上インターバル開いたのは初めて。八月花形歌舞伎も勿論チケットは確保していたのだけれど、観劇予定日は丁度東京の一日当たり感染者が5000人突破、間も無く10000人到達とか言ってた恐怖ピークの頃、おまけに自分はワクチン2回目未接種と言うことで泣く泣くキャンセル。
と言うことで実に久しぶりの歌舞伎座、しかも演目は四谷怪談。ウヒャヒャ。四谷怪談は歌舞伎を見始めた頃に
シネマ歌舞伎で観てるけど、よー分からんかった。登場人物も伊右衛門と「岩」以外良く分かってなかったし。
なので今回歌舞伎で初見物に先立ち南北の原作を読みたいと思って探したんだけど現代語で読める原作って今となっては流通していないようだ?牡丹灯籠は園朝速記本ベースのものがあるし落語も聞けるし真景累ヶ淵も然りだが四谷怪談は通しで予習できる教材が無い。過去に何度も映画化はされていて配信でも鑑賞でき、Netflix「東海道四谷怪談(1959 新東宝)」は割と分かり易かったがこれも当然「通し」ではない。
今回の上演時間は正味1時間50分で伊右衛門浪宅の場〜伊藤喜兵衛内の場〜元の浪宅の場〜隠亡掘の場 まで。
従いまして、塩谷家浪人(=赤穂浪士)伊右衛門は塩谷家当主刃傷のドサクサに紛れて公金横領したことを女房・岩の叔父四谷左門に知られてしまったこと、それを理由に左門は女房・岩を連れ帰ってしまったこと、復縁を左門に拒まれた伊右衛門は左門を斬ってしまったこと、その場を直助に目撃されたこと、岩は伊右衛門が叔父の左門を斬ったことを知らずに復縁、直助に弱味を握られた伊右衛門は直助と結託・左門の仇討ちの助太刀をすると岩を騙したこと...等々の前段はバッサリ落とされていてイキナリ産後の肥立ちが良くない岩に辛く当たる伊右衛門から入る。
雰囲気を楽しみましょう、と。
伊右衛門=仁左衛門は伊藤家の金・コネ、娘・お梅の美貌に惹かれて女房を裏切ることだけでも十分に悪いのだが、その前段の横領や叔父を斬っておいて素知らぬ顔で岩と復縁していたことまで考えるとこの狂言の伊右衛門ほど「色悪」と言う言葉がピッタリくる役柄は他に無い、と思います。
岩=玉三郎が盛られた薬を飲む場面も、ただ薬を飲むだけなんだけど後の悲劇を連想させるような不穏さを醸し出すとか、質草に出そうと蚊帳まで持ち出す伊右衛門に縋って倒れこむ所作など玉三郎の悲壮すぎる美と、究極利己快楽主義・黒紋付伊右衛門のダークな美との対比。どっちの役も当世この人しか考えられないし次いつやるのか知らんけど見ておいて本当に良かったよ。
...な訳で怖い話ではあるのですが、ずっとニヤけて舞台を観ていた私。この勢いで明日はシネマ歌舞伎「四谷怪談」へ。